サーファー的心の余裕

その日、南半球に位置するバリ島各地には南極方面からのスウェルが到達し、オーバーヘッドサイズの波がブレイクしていた。

この時期に強く吹く東寄りの風も収まり、ゆるやかなオフショアのパーフェクトコンディションだった。

ピークには多くのサーファーが集まっていたが波がまわってこないほどではなかった。

ボクはセットの波に乗り終え、ミドル付近でおこぼれの波を狙っていた。

するとすぐ近くにいた4人ほどの外国人サーファーが何やら怪訝そうな表情で口々に声を発していた。

 

「なんでこんなに混んでいるんだ?  Fuckin` 鬱陶しいよな」

 

ボクはほんの少しだけ英語が理解できる。

それゆえに時として聞きたくないようなことも耳に入ってきてしまう。

 

ボク少々イヤな気分になった。

確かにその日のそのポイントには普段より多くのサーファーで賑わっていた。混雑にイラつく気持ちは同じサーファーとしてわからないでもない。

もちろん空いていた方がいいに決まっているし、ボクらだって顔をしかめて「今日混んでるね〜」なんてことをいうことは日常的だ。

でもfuckin`言わないでよ。

 

そんなことがあったのでなんとなく彼らのことを目で追っているとそのうちの一人のマナーが非常に悪く、ドロップイン、つまり前乗りを繰り返していた。まるで他のサーファーを見下すように故意的で挑発的な前乗りを繰り返していたのだ。

そしてそんな彼の目に余る彼の行動に堪忍袋の緒が切れたローカルサーファーの一人が「Fuck you!!! Get out!!!」と怒鳴り散らしあっという間に四面楚歌となっていた。

まあしょうがないかな。

よその土地で自分勝手にやりたい放題していれば怒られるのも当然のことだ。

 

しかし怒鳴られた方のサーファーは素直に謝るどころか「オレの何が悪いんだ」というようなことを派手なアクションを交えながらまくしたてた。最初のうちはロコサーファーたちも対抗してヒートアップしたが、そのうちに呆れるようにして輪が解けていった。

その後、その彼には波がまわらなくなったのは言うまでもない。

その場に居づらくなったその彼は徐々にピークから外れ、そのうち姿を消してしまった。

 

ポイントの混雑にイライラするようなマインドならば状況を見極めてから海に入った方がいい。

ましてや周りのサーファーをリスペクトせずに自分勝手な行動を繰り返し、嫌な思いをさせてしまうのであれば最初から海に入らない方がお互いのためだ。

 

混雑しているポイントにパドルアウトする時にはそれなりの覚悟が必要だ。

波を譲ってばかりいるお人好しでは波を捉えることはできないが、イライラしてしまうようではせっかくのサーフィンが台無しになってしまう。

周りのサーファーをリスペクトしつつも波に集中し、ほんの少しのスキを見つけて波をとらえることにフォーカスすべきではないだろうか。

どうせ混雑した海に入るのであればその状況を楽しむくらいの心の余裕が欲しいものである。

有本圭

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