乾いたバリ島に恵みの雨が落ちている。

数ヶ月ぶりのまともな雨だ。

 

ボクはこの島の雨が好きだ。

日本の雨は嫌いだったけど。

傘をさして歩くのが面倒で仕方がなかった。

濡れていく靴下が気持ち悪かった。

この島では雨が降っても傘をさす必要がない。

ビーサンだから靴下をはくようなこともない。

濡れちゃえばいいのだ。

多少の雨だったら雨宿りをする必要もない。

雨に濡れることに神経をすり減らすような人はこの島にはいない。

放っておけばそのうち乾く。

そんな風にしてこの島の人たちは暮らしている。

 

書斎で雨音を聞いているとなんだか心に静寂が訪れる。

浮ついた心があるべきところにおさまっていくような。

ジトジトとしつこく降り続く日本の雨はボクの心を憂鬱にしたが、この島の雨は心を優しく静めてくれる。

 

太陽が姿を隠し、空が洗い流され、海から強い風が吹き込んだ。

淀んだ空気は一掃され、空気中を漂っていたチリは大地に溶け込んでいった。

ここ数ヶ月、連日のように太陽に照らし続けられていた地上の熱は一気に力を失った。

肌寒さを感じ、久しぶりに長袖を引っ張り出した。

あまりに出番が遠のいていたのでなんだかカビ臭かった。

仕方がないのでそのまま洗濯機へ放り込み、肌寒さに耐えながら妻が入れてくれた温かいコーヒ−をすすった。

 

雨が降り続いている。

少々光の強すぎるこの島の日常にふと落ち着きを取り戻してくれる。

根無し草でも時々は根をおろしたくなる。

行き先が見えない風船おじさんでも時々は地上に降りたくなる。

雨はボクをもといた場所に引き戻してくれる。

だからボクは雨が好きだ。

有本圭

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