ビジターサーファーとして

陽気な人々が暮らすバリ島にも厳然たるローカリズムが存在している。

地域によってその毛色はまったく異なるが、恐ろしく厳しい場所があるのも事実だ。

バリに移って6年になるがいまだに入れないポイントだってある。

海から追い出されたことだって1度や2度ではない。

波を見ていただけで「ゲラウ!(Get out!)」されたことだってある。

この島でもそういったことはあるのだ。

 

ハワイでもカリフォルニアでもオーストラリアでも日本だってそういったポイントはある。

ローカルサーファーでウェルカムな人もいればゲラウな人もいる。

特にそのポイントの重鎮がゲラウな人の場合、ポイントそのものが排他的な雰囲気に染まっていく傾向にある。

きっと世界中のサーフスポットはどこでもそういった潮流ではないかと思うのだ。

 

東京出身のボクは生涯ビジターサーファーとしてサーフィンライフを送っている。

21歳で移住した湘南においてもローカルサーファーたちと仲間になり彼らと同じ時間を過ごしながら一緒にサーフィンをしていたのだが、それでもやはり常に一線は引いていた。

ボクは彼らをローカルサーファーとしてリスペクトしていたし、自分はビジターサーファーとしてわきまえるように心がけていた。

正直に告白すると若かりし頃のことなので勘違いしていた時期もあったのだが、そういった時にはガツンと頭を叩かれるような出来事が身に降りかかってきていた。

そんな風にしながら少しずつ独特なサーフィンのシキタリを学んでいったのだ。

 

バリでロコ達とサーフィンをしていてこれまでにこういうことが何度かあった。

ちょうどボクが沖にいる時にセットの波が入ってくる。

仲間であるロコたちが「ケイ、ゴーゴー」と言ってくれる。

もちろんパドルを始める。

しかしピークに白人のサーファーがいて彼も同じく波に乗ろうとしている。

ボクは彼を視界の端に入れながらパドルする。

もしその彼が波に乗れたとするならばボクはその波を譲ってしまう。

「ナンデー、ケイ、ゴーよ!」

とロコ達に言われてしまう。

でもボクはドロップしない。

ボクも白人サーファーと同じくビジターであるから。

 

ボクはロコたちと友達でその彼らがゴーと言ってくれているわけだからなどとごちゃごちゃ考えるとややこしくなってしまうのでボクは常にそうすることにしている。

ロコ達から見たら『コシヌケ』と映ってしまうかもしれないがボクはそうしている。

そんなことではロコをリスペクトしていないことになる、という考えもあるのだが、ボクのスタンスは変わらない。

ローカルサーファー達とは友達ではあるが自分は決してローカルではないという確固たる思いがあるからだ。

それがボク流のリスペクトの仕方なのである。

 

そういったボクのスタンスがいいとか悪いとかではなく、ビジターサーファーとして自分なりのサーフィンライフを歩んできた結果がこういった姿勢になっている。

ただそれだけの話だ。

だから皆さんもこうしようああしようなどと言うつもりは毛頭ない。

ただボクはそうしている、もしくはそうなってしまったというだけの話なのである。

有本圭

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