還暦プロサーファー

ようやく海に戻ることができた。

両生類的人生を歩んできたボクにとって約1ヶ月間も海に入れないのは半ば拷問に近い。

放っておけばさらに海なし生活が伸びてしまいそうな最中、宮崎からバリ入りしている藤井辰緒プロに会うために強引にスケジュールを空けて海に出向いたのだ。

なぜそこまでして藤井プロに会いたかったのか。

そこには理由がある。

 

今年還暦を迎える藤井プロは今なおプロサーファーとして第一線で活躍している。還暦を迎える歳でサーフィンを続けているだけでも尊敬に値するのだが、プロサーフィン界でトップサーファーとして活躍し続けているというのは並大抵のことではない。前例のない讃えるべき実績の持ち主なのだ。

 

1年ぶりにビーチでセッションさせてもらったが、相変わらずキレキレでサーフィンをしていた。衰える様子を微塵も感じさせない。まったくもって恐るべしなのである。

彼が波に乗ると自然と周囲のサーファーの視線を集めるようになる。

『あのおじさん、タダモノではないぞ』という空気が徐々に広がってくるのを感じる。ロングボードに興味のないはずの若手のショートボーダーですらそんな風になってしまう。それだけ彼のサーフィンが卓越しているのだ。

 

「さすがに体力が落ちてきてな。だから2年前からトレーニングをはじめてるんよ」と語った藤井プロ。てことは58歳まではトレーニングをしていなかったということになる。それもある意味すごいことだ。58歳まではトレーニングをせずにプロ活動を続けてきたということだ。しかし聞けば年間360日前後はサーフィンをするというからトレーニングをしている暇もなかったのだろう。

「もっと早くからトレーニングしていればもっと上にいけたかもしらんよ」とイタズラっ子のような笑顔を浮かべた藤井プロはまだまだ本気で上を目指してサーフィンに打ち込んでいるのだ。

 

藤井プロのサーフィンを眺めていると勇気が湧いてくる。

60にもなり、それなりの実績を重ねてくるとレジェンドサーファー然としてくるのが普通なのだが、彼の場合はいまなお現役を貫いている。守りに入るような姿勢が一向に見えてこない。

いまなお孫くらいの年齢の若手プロと互角以上の戦いを繰り広げている。彼らに勝つために自らシェイプをして毎日のように海に出ている。

かつてこの日本にそんなサーファーがいただろうか。

ボクはそんな彼の生き様に触れられるチャンスを逃したくないとすら思っている。

まもなく藤井辰緒プロの2018年シーズンがバリ島で開幕するのだ。

有本圭

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