プロサーファーという資格の価値

日本でプロサーファーを名乗るにはJPSA(日本プロサーフィン連盟)でプロのライセンスを取らなくてはならない、ということに一応なっている。

資格大国日本らしいシステムである。

しかしこれはある意味プロサーファーのハードルを下げているのではないかと思ったりもする。

要するに資格さえ取得すればサーフィンで生計を立てていなくても『プロサーファー』を名乗ることができてしまうのだ。

 

ボクはかつてプロになるためのコンテストで優勝してプロ資格を得た。

しかしプロの資格を得ただけでは一銭も稼ぐことはできなかった。プロ野球のように契約金がもらえるわけでもなく、年俸が保証されるわけでもない。

その当時はアパレルの仕事をしていたわけなので本質的にはプロサーファーでもなんでもなかった。プロというのはその世界で生計を立て、熟練した技術を持つ者が名乗れる最高峰の冠なのだ。

しかし、周りは資格を取ったというだけでボクのことを『有本プロ』などと呼ぶようになっていった。

 

コンテストで実績を残し、スポンサー企業からサポートを得て、そこからサラリーをもらえるようにならないとプロとして安定した生活を送ることは難しい。

賞金はあくまでもボーナスのようなものでしかない。選手で賞金を当てにして生活をしている人はほんの少数派だ。

プロサーファーとして生計を立てていくには相当な実績と影響力が求められるのだ。

 

ではプロの資格には価値がないのだろうか。

それに関してはここで断言できる。

サーファーとして生きていく覚悟がある人にとっては一生を左右するほどの大きな価値を持つライセンスだと思うのだ。

 

世間の目

プロサーファーになって何が変わるか。

それは周囲の自分に対する目だ。

自分はただその資格を得ただけで何も変わっていないのに、世間は『プロサーファー』として見てくれるようになる。いいプレッシャーの中でサーフィンをすることになるのでレベルも上がっていくだろう。

アマチュアでロクに仕事もせずにサーフィンばかりしていたら「あいつはどうしようもない」などと後ろ指を指されかねない。

しかしプロサーファーの資格を得ておけば、「今日も仕事だ」と胸を張って海に行けるようになる。周りのサーファーたちも「あいつはトレーニングをしている」と認めてくれるようになる。

「いつまでもバカみたいにサーフィンばっかりして」などと家族からたしなめられるようなこともなくなる。

 

仕事につながる

例えばプロサーファーになって成功することができなかったとする。それでもプロのライセンスは依然として価値を発揮することになる。

全くサーフィンとは畑違いの仕事に就いたとしても「この人は以前プロサーファーだったんだよ」と周囲の人が紹介してくれるだけで相手にいい印象を与えることができる。

サーフィンである一定のレベルに達した人は他のことでも能力を発揮すると期待されることが多い。努力することができる人と見られることがあるのだ。

その期待に応えられるかはその人次第ではあるが。

 

サーフィンが生き方になる

プロサーファーとして周囲から見られることで本人もその気になってくる。サーフィンとは切っても切れない縁となってくる。

コンテストを引退したのちもサーファー的な人生を歩む人が少なくない。

サーフショップを営む者、シェイパーになる者、サーフフォトグラファーになる者。

ボクの場合はライターになったわけだが、サーフィンに関わる何かを職業にする人が多いのだ。