邪魔はどっち?モンダイ

バリ島は一年のうちでもっとも波のない期間に突入しているようだ。

雨季乾季の変わり目の季節ではわりと波がなくなることがある。風も弱まるがウネリも弱まることが多いのだ。

 

「波がないっつったって、なんだかんだあるんでしょ?」という声に対しては「そうなんです、なんだかんだと言えばあるんです」とお答えするしかあるまい。

波がないないと騒いでいてもモモ〜ハラくらいの波はブレイクしている。

サーフィンができない波ではない。

やろうと思えばできるし、楽しもうと思えば楽しめるコンディションなのだ。

 

ボクはポイントの前のワルンから波を眺めていたが、なんとなく楽しめる自信がなかった。

波的には楽しめそうだったがポイントは混雑していた。

波が小さい上に混雑しているとせっかく海に入ったにも関わらずストレスだけ溜めて海から上がるなんてこともある。

こんな時はわざわざ海に入らなくてもいいよね、と帰り支度を始めていると「ケイ、やるよ、30分だけ入るヨ」と友人が声をかけてくれた。

「30分?」

そうだな、よく考えたら海に入れば何はともあれ心も体もスッキリするわけだからちょっとだけ入るか、という気になった。

 

ピーク付近はサーフィンスクールの生徒さんやビギナーサーファーで賑わっていた。

しゃべり声や笑い声が聞こえてきた。

波が小さいので緊張感は感じられず、和気あいあいとしていた。

たまに入ってくるコシくらいの波に5〜6人のサーファーが同時にパドルを始めていた。

みんなニコニコと波に乗っている。

いいね、こういうのも、なんて心密かに思いつつ2本目に入ってくるセットの波を狙う方針を固めた。

だいたいこういうシチュエーションの時は最初に入ってきたセットの波に群がる傾向がより一層強くなる。ということは2本目以降の波は誰にも邪魔されずに乗ることができる可能性がグイっと高まるのだ。

が、スモールコンディションの時はセットの波が1本しかないなんてこともしばしば。

ここはある意味賭けなのである。

 

10分ほどするとやや大きめのセットが入ってきた。

と言ってもせいぜいコシくらいの波だ。

予想通り、周りのサーファーの動きがあわただしくなった。

おっ!キタっ!という周りのサーファーたちの心の声が聞こえるようであった。

ボクは予定通り1本目をパスした。

するとこれまた予定通り2本目の波が入ってきた。

シメシメ。

アウトにポジショニングしていたボクが乗れる波だった。

波に合わせながらテイクオフしようとしたが前でパドルしている女の子のサーファーの姿が見えた。

どうやらその女の子は波に乗れそうだった。

まあいいじゃん、乗ってもいいよ、という気分でその波に乗りながらも女の子の動きを視界に入れつつライドした。

「Oh sorry!!!」

その子が波を乗り終えて背後のボクの姿に気付いたと同時に声をあげながら両手を合わせた。

ぜんぜん問題ないよね。

ボクはその子にスマイルした。

これがボクのナンパの手口である。

ということでは決してない。

そんなに謝らなくてもいいよってな気分だったのだ。

 

最近、娘のサーフィンに付き添う機会が増えてきているのでビギナーサーファーに対して更に寛容になっている自分に気がつく。

寛容というかある種の愛を込めた眼差しで彼らのことを見ている。

スクールの先生に押されながらも波に乗ろうとしているひとりひとりがこの場を楽しんでいるのだと思うと決して邪魔をしてはならないとさえ思うようになっているのだ。

 

こういうコンディションにおいてはなまじ波に乗れるサーファーこそが逆に邪魔だったりすることを知ってしまった。

スモールコンディションで子供を波に乗せたいと思っている時におじさんのロングボーダーがイキってガツガツしていたりすると「せっかく波が小さいんだからビギナーに乗せてやっておくれよ」という気持ちになる。

いまのボクはそちら側の気持ちに立っているのだ。

若かりし頃はビギナーサーファーを「邪魔だなあ」と邪険にしていたこともあったが、きっとその時の自分こそが邪魔者だったんだろうなと今更ながらに反省したりするのであった。

有本圭

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