突撃アポなしドイツロシア連合軍

そういえば5年前のその日もそうだった。

バリに移住して間もない我が家に突然姿を表したドイツからの珍入者。

大塚栄という現在はカリフォルニアでシェイパーをしている友人からの紹介だったのだが、家の場所を教えておいたら突然的に我が家にやってきた。

まさかの『アポなしドイツ突撃隊』の来訪だったのだ。

「え、いつバリに来たの?」

「今朝だよ」

「へ〜、そうか。。。 ところでホテルは取ったの?」

「いや取ってない」

うーん、風貌からしてホテルという感じではない。

どでかいバックパックが背中に引っ付けていることからなんとなく彼の求めていることがわかった。

「え、うちに泊まる?」

間髪入れずに「Oh thank you!」と右手を差し出されたので名前を聞く前に我が家に泊まることが決定したのだ。

でも友人の友人だから心配はないし、突然のドイツ人ってのもなんだかオモシロイではないか。

まだ英語が話せなかった妻と娘は突然の珍入者に戸惑っていたが、彼が次の宿を探すまでの数日間を共に過ごした。バリ生活はこういったハプニングも含めて進んでいくのかと思うと案外楽しい経験だったのだ。

 

つい先日、久しぶりの晴れ間にベランダで洗濯物を干していた。

もうすっかり主夫が板につき始めている。

洗濯物作業はそんなに嫌いではないが娘が出席するバースデイパーティーの時間が迫っていた。

ようするに焦っていたわけなのだ。

すると見知らぬ白人がベランダの下から満面の笑みをボクに向けているではないか。

ダレ?

一瞬だれだかわからなかった。

が、よく見るとあの時のあのドイツ人。

おおおおお、久しぶり〜。

名前なんだっけ。

えーとえーと。

ああ、ジュリアン! ジュリアンじゃん。

ええ? なんでバリにいるの?

 

「あの時は本当にお世話になって今でも感謝しているよ。実はあの時の旅がきっかけでバリで暮らすことになったんだ」

えええええ。

知らんかった〜。

「それでこちらがバリで出会ったボクの妻。ロシア人でツアーガイドをやってるんだ」

おいおい、どうしたその美人。

しかも彼女の腕の中には天使のような赤ちゃんが包まれているではないか。

「まあまあ、いいからいいから、上がりなよ」

 

5年の時を経て、『アポなしドイツ突撃隊』は『突撃アポなしドイツロシア連合軍』にパワーアップして舞い戻ってきたのだ。

「あの時にキミがサーフボードを貸してくれたことがきっかけでサーフィンに夢中になったんだ。それでバリに移住してきたってわけなんだ」

へえ〜。そうだったんだ〜。知らなかったぞ。

「そこで彼女と出会ったってわけなんだ」と隣にいた美人さんの肩を抱いた。

そうかそうか、それならこのボクにもっともっと感謝するがいい。

ある意味ボクがきっかけを作ったってわけだな。

そうかそうか。

ボクはなんだか妙に嬉しくなった。

話が盛り上がりかけた時に娘ガル子の鋭い視線に気づく。

あ、やべっ、誕生日会だった。

 

「あのね、来てくれるのはすごく嬉しいんだけど、できればね、アポを取ってきてくれるとゆっくり会えるからね。次はアポなし突撃はしないでね、そういえばあの時もそうだったね」と笑い合った。

 

でもこの突然の来訪になんだか心がほっこりと温かくなった。

あの時のあの青年がね。あの旅がきっかけでね。

人の人生のターニングポイントにほんの少しでも関われたことがしんみりと嬉しかった。

人には親切にしておくものである。

有本圭

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