言うは易し行うは難し

ニュースを眺めているとパワハラだの何だのかんだのごちゃごちゃごちゃ。

もちろん程度にもよるが、なんとなく弱き者が法を盾にして強き者をいじめ返しているようにも見えてしまう。それでは根本的な解決にはならないのではないだろうか。

 

最近、ローカルサーファーに海を追い出されたビジターサーファーが警察に通報して問題が必要以上に大きくなったなんてことを耳にした。

話を聞いてみるとお互いが非は相手側にあると信じこんでいるようだった。いや、おそらく信じ込もうとしているのではないかと思う。これではいつまで経っても並行線のままだ。でも実はちゃんと冷静にお互いのことを考えることができればきっと歩みよれる部分もあるはずだと思うのだ。

と、まるで聖人君子のようなことを書いてしまったが、そんなボクもエゴを持った普通の人間だ。

 

先日サーフィンをしていてこんなことがあった。

某リーフポイントでロングボードを楽しんでいた。波のサイズはコシから最大セットでカタくらい。バリにおいては小波と言ってしまっていいサイズだ。トロめでパワーのないブレイクだったがロングボードなら十分楽しめる波だった。

そんな波だったが数名のショートボーダーがポイントに入っていた。ボクはなるべく彼らにセットの波は譲るように心がけて小さめの形のいい波だけを選ぶようにしていた。

 

たまたまボクがアウトにポジションを取ったタイミングでセットの波が目の前に入ってきた。まるでボクをめがけてやってきたような波だった。

迷いなくその波にテイクオフし、ターンをしながらミドルセクションまで乗りつないでくるとショートボーダーがその波に乗ってこようとしている姿が視界に入った。完全に前乗りのポジションだ。

でもその日は小さいながらも波数があったのでボクは「ゴーゴーゴー」と声をかけた。彼がテイクオフすればボクはプルアウトしようと思っていた。また次の波に乗ればいいのだ。

必死にパドルをしていた彼は結局波に乗ることができなかった。そして次の瞬間、何事かを叫んで海面を盛大に叩いてしぶきを上げていた。

ボクは彼を通り越してそのまま波に乗り続けたが、そんな彼の態度に気持ちが騒ついてしまった。

「なんだそれっ」

波の乗りつつもそんな言葉を吐いていた。

まるでボクが水しぶきをかけられたようで大変に嫌な気分になってしまったのだ。

 

波を乗り終えてゲッティングアウトする時にその彼がまっすぐ視線を合わせてきた。一見して憎しみを含んだ視線だとわかった。

ボクは彼にわかりやすいジェスチャーで両手と両肩を上げた。

「何が悪いんだい?」

そういうジェスチャーだ。

すると英語ではないおそらくヨーロッパのどこかの言葉で何かを言っている。

何を言っているのかさっぱりわからないが何やら熱くなっている。

「俺はゴーゴーって言ったよ。君が波に乗ったら譲るつもりだったよ」と英語で伝えたが、理解しているんだかなんだか。

というか、なんでボクが文句を言われているんだ?

とにかく腹立たしかった。

今から思うとハナから相手にしなければ良かったのだ。

 

100%ボクは悪くないと思っていたが、何かしらの彼の言い分もあったのだろう。

その言い分が一体何だったのか言葉が理解できなかったのだが、きっと彼はその波にどうしても乗りたかったのだと思う。オマエはさっきからロングボードでたくさん波に乗ってるんだろ、てなことなのだと思う。

いや、だからゴーゴーって言ったでしょ。

つーか波に乗れなかったのはアンタの力量でしょ、とボクがまっすぐ言い返すとケンカになってしまうのだろうか。

 

同じ事柄に対峙しても立場が違うと全く違った景色に見えるものだ。

相手の言い分、立場を理解し、その上で自分の立場を主張する。

まずは相手を受け入れる。

言うは易し行うは難し、である。

結局争いのないより良い社会なんてものはあくまでも理想でしかないのかもしれない。

何だか少しだけ絶望した出来事だった。

有本圭

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