恐ろしき季節の変わり目

季節の変わり目というのは何かと体調を崩しやすいものだ。

急激な気温の変化に体が対応できずに風邪を引きやすくなってしまう。

バリ島は一年中明日も明後日も明々後日も、とにかくいつまでもどこまでも夏が続いていく。

常夏の島では季節の変わり目に体調を崩すことなどないと信じていたが、実のところこの島でもそれは大いにあるのだ。

 

ただいまバリ島は季節の変わり目に差し掛かってきている。雨季から乾季への移行期間へと突入しているのだ。

移り変わりの期間と言ってもそこで暮らしていなければそれに気づけないほどの微小な変化なのだが、暮らしているとその変化は案外大きく感じられる。

最近、やたらと暑いのだ。

「いや、一年中暑いでしょ、バリ島は」などという声が聞こえてきそうだが、この雨季から乾季、乾季から雨季へと移り変わる時期が一年のうちもっとも凶暴的に暑くなるのだ。

『暑い』から『めちゃくちゃ暑い』への変化などどうってことないように思えるが、娘ガル子が通う学校では多くの子供達が体調を崩していると耳にする。バリ島ではそこかしこで「今、風邪が流行っているみたいですよね」などという会話が聞かれるのだ。

 

「これでガル子が体調崩したら我が家は終わるよね」と目下長期無期限日本滞在中のド天然嫁と話し合っていた。父娘ふたり暮らしにおいてどちらかが体調を崩したら大変な事態へと発展する。

放課後にサーフィンをする約束になっていたその日、学校からの帰り道で少し様子がおかしかった。

大口を開けて何度もあくびをするガル子。

そういえばその日の前夜は最近一緒にサーフィンをしているオリビアなどと夜遅くまで遊んでいた。いつもより1時間ほど就寝時間が後ろにずれ込んでしまっていたのだ。

「眠いんでしょ? 今日はサーフィンやめとく?」と聞くも「やだっ、サーフィンいく。オリビアと約束したもん」と声を張った。

 

そうかそうか、そんなにもサーフィンがしたいのだなとやや満足風な気分になったボク。すでにポイントへとパドルアウトしていたガル子のサーフバディ、オリビアを追うようにしてふたりで海へ入っていった。

快調にアウターリーフまでパドルしていくガル子の姿に「うんうん、いいね、サーファーらしくなってきたね」などと目を細めていたボクだったが、彼女が1本波に乗ったところで異変に気がついた。

 

なかなか沖へ戻ってこないガル子を心配してインサイドに様子を見に行くとサーフボードの上で両手を体の下に隠すようにして震えているではないか。

「どうしたっ?」

ボクは一気に焦り始めた。

顔色は真っ青というか真っ黄色だった。

唇は青紫に色を変え小刻みに震えている。

「オトー、寒いっ」

すぐさま額に手をやると熱を帯びているではないか。

いかん。

まだ帰りたくないと駄々をこねるガル子を半ば無理矢理ビーチまで連れて帰った。

 

子供をサーフィンをさせるのであればもっと体調に気を配るべきだった。

聞けばその日は朝から少し体調が悪かったそうなのだ。

子供は自分がやりたいことに関しては無理をしてしまう生き物だ。そこは親として、また先輩サーファーとしてしっかり見ておくべきだった。

思い返してみるといくつか信号が出ていた。もっとしっかり観察していれば海に入ることを避けられたはずなのだ。

大反省のボクは今、付きっきりで彼女を看病している。

有本圭

インスタグラムkeiarimotoではバリ島ライフをほぼ毎日アップしてます。こちらも是非フォローしてくださいね!

Saltwater magazineのインスタグラムも始めました。こちらもよろしくお願いいたします!!