海から上がる勇気

先日、スランガンポイントでサーフィン中の死亡事故があった。

ボクはその日、海に出ていなかったので現場に居合わせた人たちに詳細を聞いてみたのでここに書き留めておきたいと思う。

 

その日の午前中、セットでダブル近い大波が押し寄せていた。

強烈なカレントが発生しており、日本からやってきていた山本晃プロですら危険を感じるほどだった。

強烈なカレントがピークに吸い込まれるように流れており、セットの波をまともに喰らうとなかなか海面に顔を出すことができなかったそうだ。

しかも波はダンパー気味でピークから波を捉えたとしてもライディングを長く続けることができないような波質だったのだ。

山本プロも中級者のお客さんを連れて海に入っていたこともあり、その日はすぐに海から上がることにしたのだそうだ。

 

その日の午後、潮が大きく引いてくる時間帯に事故は起こった。

アメリカからやってきたその彼は中級者以上のスキルがあったようだ。

ボクはこの事故を知った時にとっさに初級者が波に巻かれてパニックを起こして溺れてしまったのだと思い込んでいた。

しかし彼はかなり経験豊富なサーファーだったのだ。

実際その日の波のコンディションはそのレベルに達していなければサーフィンができるような状況ではなかったという。

 

立て続けに入ってきたその日最大級のセットの波に飲み込まれた彼が海面に上がった時にはすでに息をしていなかった。

サーフボードが損傷していたことから波に巻かれている間にサーフボードが頭部などに当たったのではないかと推測できる。

気を失い海水が肺に入りそのまま溺れて命を落としたという可能性が高いという話だった。

 

サーフィンは危険を伴うスポーツである。

そのことは周知の通りだ。

サーファーであれば1度や2度は死にかけた経験があるのではないだろうか。

このボクも死にかけた経験は1度や2度ではきかない。

そんな時、現役でプロ活動をしていた頃はどんなに恐ろしくてももう一度ピークに向かうように心掛けていた。

一度恐怖心が芽生えるとなかなかそれを払拭できなくなってしまうからだ。

ある意味、命を賭けてサーフィンに取り組んでいたのだ。

 

しかし楽しみの一つとしてサーフィンを捉えている方たちにとっては命を賭ける対象ではないはずだ。

決して無理をする必要はない。

時として危険を感じたら海から上がるという勇気も必要なのではないかと思う。

何より愛する人たちを悲しませるようなことをしてならないと思うのだ。

 

不運にもスランガンで命を落としたアメリカ人のサーファーの方のご冥福をお祈りします。

有本圭

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