外国人サーファーから見た日本の姿

ここ最近、『Saltwater TV』に出てもらっているアメリカ人のオリバーと娘のオリビア。

先日、彼らと近所の日本食レストランで同席する機会があった。

娘同士はあっという間に他のテーブルに移りガールズトークに花を咲かしていた。

オリバーとボクは同じサーファー同士で年齢も近いこともありちょくちょく一緒に食事をする仲だ。

今回は彼のお話をご紹介しようと思う。サーファーでもある彼の視点から見た日本の姿が非常に興味深かったのだ。

 

オリバーはカリフォリニアのベニスビーチ出身で娘のオリビアとともにアメリカ人だ。しかし実はこの親子は日本と深い縁があったのだ。

オリバーは以前、四国で18年間暮らしていた。ヨガを教えながら日本の田舎暮らしを満喫していた。娘のオリビアの記憶には残っていないが彼女は日本で生まれていたのだ。

オリビアは梅干しや納豆が大好きで、ボクたちが日本へ帰国するたびにそれらを差し入れすると満面の笑みを見せてくれる。

 

そんな彼らが日本を離れる決意をしたのは東日本大震災がきっかけだったという。

当時、海外メディアで報じる福島第一原発の状況は日本の報道とは大きくかけ離れていた。より深刻に報じられていたのだそうだ。

娘に対する放射能の影響を恐れて泣く泣く日本を離れたという経緯があったという。

 

「四国の海は汚染されていないようだね。そのことは安心したよ。でもそれよりも深刻なのは福島の東に位置するハワイやカリフォリニアだよ。海流はそちら側に流れているからね」

と、オリバーは少し悲しそうな表情を浮かべた。

そんな彼は昨年の台風シーズンに四国へ1ヶ月ほど里帰りしている。

「四国がヒットした時はバリよりもいい波だよ。アメージングなんだ。あのケリースレイターも四国の波をアップしているボクの友達のインスタグラムをフォローしているくらいだからね」とまるで自分の故郷を自慢するように語った。

さらに彼の話は続いた。

「日本が危ないと思ってバリに移ってきたけど、結果的には四国の方がずっと安全だったよ。排気ガスやダイオキシン。交通事情にしてもそうだね。放射能だって大丈夫そうだしね。子供たちが歩いて学校に通えるなんて日本くらいじゃないかな。総合的に考えたら日本の方がずいぶん安全だよね」

なんだか日本人のボクに日本自慢論を繰り返すオリバーがアメリカ人には見えなくなってきた。

「でも日本には冬があるでしょ」

なぜかボクは反日本側についた。

サーファーにとって厳しい冬はネガティブポイントになることが多い。

「そうね〜。冬がね、寒いよね。でも温泉でしょ。鍋でしょ。それに! みかん! 冬もいいよ、日本」

彼は親日の立場をより一層強めていった。

 

ボクも海外で暮らすようになって日本の良さに気づけるようになった。もちろん生まれ育った日本が大好きだ。

でも外国人として日本で暮らしていた彼が持つ日本の印象は我々日本人とは少し違った視点からみえているようだった。

 

ボクはオリバーにこんな問いを投げてみた。

「今バリで暮らしているでしょ。でもまた日本で暮らしたいと思ったりするの?」

すると彼は「もちろんね。My Dreamネ」と迷いがなかった。

「ピープル、いいね、優しいね。フード、オー、グレイト! それにセイフね。四国に住んでいた時は鍵を閉めたことなかったよ。 みんな知っている人だからね。」

さらに、

「波も、オー、アメイジング! ガイジンが仕事するのもカンタンね。ワーキングビザをもらえるね。 バリみたいにあれがダメ、これがダメないからね。また日本に戻りたいよ」

 

当たり前のように日本で暮らせる権利を持つボクにとって、日本に対する憧れはない。祖国だから憧れの対象にはなりえない。

しかし日本で暮らしたいと考えている外国人は決して少なくないというのも事実だ。

オリバーのような西洋人もさることながらアジアの人々にとって日本が憧れの地となっている。

バリ島が属するインドネシアの人達も『暮らしてみたい国』で真っ先に日本の名を挙げる人が少なくないのだ。

 

日本とバリ島で暮らした経験を持つオリバーが日本の方がより良いと言ってくれたことはなんだか日本人として誇らしかった。

彼の熱のこもった話し方からそれらが決してリップサービスなどではないと感じさせてくれたのだ。

 

最近、こんなことを思うことがある。

実は日本人として日本に生まれたことは相当に幸運なことだったのではないだろうか。

『当たり前』には実にいろいろな要素が含まれていて、それを客観的に理解した時、当たり前が当たり前でなくなり、それが急に価値を持ち始めたりする。

日本人であるという我々にとってごく当たり前のことが世界に視野を広げてみると非常に価値のあることだったりするのだ。

有本圭

インスタグラムkeiarimotoではバリ島ライフをほぼ毎日アップしてます。こちらも是非フォローしてくださいね!

Saltwater magazineのインスタグラムも始めました。こちらもよろしくお願いいたします!!