ふたり暮らしの現実

ド天然嫁を深夜の空港に送り届け、家に戻る車の中。

いきなりガル子とふたりになる現実に直面することになった。

「ママ〜、ママ〜」という悲痛な叫びが車中に響き続けた。

止めどもなく涙が彼女の頬をつたった。

ボクはハンドルを握りながらいたたまれない気持ちになった。

なんて声をかけていいのかさえわからなかった。

本当にふたりで暮らしていけるのだろうか。

不安がボクを覆い尽くした。

 

しかも今回は決して短い期間ではない。その時点では2ヶ月になるのかそれとも半年になるのか、見通しすら立っていない状況だった。

ガル子の気持ちを考えたら一時的に日本に帰る選択も考えてなくてはならないのかもしれない。

幼いうちにママと離ればなれになるのは精神衛生上あまり良いことではないのかもしれないと思ったのだ。

 

不安を抱えながら翌朝からガル子とのふたり暮らしが始まった。

朝食を準備し寝起きの悪いガル子を寝たまま引きづってシャワールームに連れて行き、着替えを用意して朝食を食べさせた。

ガル子は思いのほかケロリとしており、ママの事は案外引きずっていない様子だった。

そこだけが救いだった。

ほんの少しでも寂しい思いをさせないよう家では努めて明るく振る舞った。どんなんに疲れていてもマックスで陽気に振る舞うように努めた。

それでもふたりきりで家で過ごしているとどうしてもシーンとしてしまう瞬間がある。何かと口うるさく騒々しかったド天然嫁だが、それでもゴチャゴチャと何かしら音を発してくれていた方がどんなにありがたいことかと思った。

 

あれから1ヶ月がたった。

終わりのない娘のアレコレにもようやく慣れてきた。

その間に当サイト『Saltwater magazine』やYou Tubeチャンネル『SaltwaterTV』の立ち上げが重なり、怒涛の日々を送った。

サーフィンをする余裕はなかったが、それがかえって壊していた肩を休ませてくれた。

何もかもポジティブに捉えるしかないのだ。

 

当初、Saltwater magazineで様々なトリップを企画していたがそれらは一旦立ち消えとなってしまった。

娘を置いて旅に出ることなどできない。

なんでよりによってこんな時に・・・

そんな風に後ろ向きな気分になることもあった。

しかしそんなことをクヨクヨと考えても仕方ない。

切り替えるしかない。

娘とふたりで作れるコンテンツだってあるのではないかと思い直してみた。ふたりで楽しく過ごしながらコンテンツを作っていけばいいじゃないか。

実際、You Tubeがお気に入りの娘にとって自身がそこに映し出されることはなんだかとても誇らしいことのようだった。できる範囲の中でできる限りのことをしようと思い直すことができたのは娘のおかげだった。

 

そんなことよりこの1ヶ月の間、ガル子は一度だって弱音を吐かなかった。

「早くママが帰ってくるといいね」とは口にするものの、ママに会いたいと駄々をこねるようなことは一度もなかった。

もちろん内心ではママに会いたいに決まっている。

きっと寂しい思いをしているだろう。

 

透き通るほど純粋で眩しいくらいに陽気なガル子。

ボクは彼女の明るさに救われながらなんとかパパを続けることができている気がする。

このふたり暮らしはたくさんの新たなる学びを運んできてくれているようだ。

有本圭

インスタグラムkeiarimotoではバリ島ライフをほぼ毎日アップしてます。こちらも是非フォローしてくださいね!

Saltwater magazineのインスタグラムも始めました。こちらもよろしくお願いいたします!!