ふたり暮らし

ちょっと笑えない状況だった。

なので、このことについて書くことをずっと躊躇っていた。

しかしそろそろ書いてもいい頃だ。

ある意味、冷静にこのことを書けるくらい事態が落ち着いてくれたことがしみじみと嬉しいのだ。

 

実をいうと1ヶ月ほど前からバリ島でボクと娘のふたり暮らしが始まっていた。

とうとう妻に愛想を尽かされて出て行かれてしまった、ということではない。ある事情で我がド天然嫁が急遽帰国することになったのだ。

これはまさに文字通り突然的な出来事で、「じゃあ今からチケットを取って明日から帰るね」といった具合にバタバタとふたり暮らしが始まっていった。

しかもその時点では彼女がいつバリに戻れるか見通しが立たっていなかった。

 

ド天然嫁の姿がバリ島からなくなってから約1ヶ月が経った。

しかしそのことに触れてくる人は案外少ない。

「あれ、そういえば最近ガル子ちゃん、最近いつもパパと一緒にいるねえ」などと気がついているはずなのだが。

ナニカを感じているのだろうか。

迂闊にそのことを尋ねてしまい、ボクがやや影のあるヒキツリ笑顔で「いやー、とうとう妻に出て行かれちゃいましてねえ」なんて答えたりしたらなんて返していいのか戸惑ってしまうだろう。

なんとなくそんな状況を避けようとしているのかもしれない。

ボクたちは今、ある意味『腫れ物』状態となってしまっているのだ。

 

突如始まった娘ガル子(ガールなのでガル子)とのふたり暮らし。

必然的にボクはパパとママの役割を同時に果たさなくてはならなくなってしまった。

家族で海外暮らしをしていると常にこのような事態に直面する可能性があることを身をもって実感することになったのだ。

 

ド天然嫁をデンパサール空港に送った翌朝から想像を絶するドタバタ劇が始まった。

6歳のガル子はボクが想像していた以上に自分のことができなかった。

スナックタイムのおやつを用意し、宿題、水筒、着替え、先生へのレポート・・・

今までド天然嫁に任せっきりになっていたことが次々と降りかかってくる。

 

ガル子を学校に行かせるだけのことでもゲボが出るほど大変なことだと知った。

朝食を用意し、学校の持ち物をチェックする。

体操の服は?

着替えは?

おやつは?

借りてきた本は?

先生へのレポートは?

 

それに加えて放課後の数々の習い事。

もうボク一人の手にはおえない。

 

月曜日から木曜日の放課後にはなんだかんだとナンラカの習い事があり、金曜日は誰かしらお友達と遊ぶ段取りを取らなくてはならない。

もちろん英語もしくはインドネシア語で。

もうド天然嫁などとは呼べないような状況だ。

ド天然がこんなことを一人でさばいていけるはずがない。

あいつ、実のところド天然のフリをした超しっかり者なのでは?という疑いさえ芽生え始めてきてしまっていた。

 

昨年まで10日ほどのサーフトリップの仕事を繰り返していた頃、ド天然嫁は疲れ切っていた。

なるほど、ひとりで家庭をまわすってことはとてつもなく大変なことだったのだな。

感謝の気持ちってもんは『当たり前』のことが実は当たり前ではないと気づいた瞬間に生まれる感情のようなものだと知った。

ある意味、このふたり暮らしはボクに多くの気づきを運んでくれている。

有本圭

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