『ただし』は続くのだ

ビジネスモデルの話

「で、結局のところ広告で食っていこうっていう腹づもりなんだろ?」

学生時代からの友人Sに鋭く突っ込んできた。

「だから違うって言ってんだろ」

ボクは少しムキになった。

彼とはかれこれ30年以上の付き合いだ。

腹立たしいことにボクが企んでいることはしゃべらずともバレてしまう間柄だ。

が、今回ばかりは彼の検討違いというものだ。

「じゃあどうやってそのソルトなんとかで収益を上げるんだよ」

「だからソルトウォーターマガジンだよ」

「まあ、それはどうでもいいけど」

「どうでもよくねーよ」

またもやムキになるボク。

 

「だからさっきから言っているけど、いろいろモノを作ったりしてそれを販売したりすんの」

「何を売るんだよ」

「だからー」

その居酒屋に入ってから堂々巡りが続いている。

 

彼はネットでモノを売るなんてそんなに甘くねーぞ、と主張しているのだ。

そんなことは100も承知だ。

でもその難題に今立ち向かおうとしているのだ。

 

そもそもボクはライターの仕事の傍ら、20代の頃からモノづくりの仕事を携わってきた。

特に20代、30代はモノを作ってそれを売ることを生業にしてきた。

プロサーファーの稼ぎではとても生活が成り立たなかったのでそういった仕事をせざるをえなかったという悲しき現実もあったが、ボクはその仕事が嫌いではなかった。

いや、むしろ夢中になっていた。

モノづくりが高じて雑貨のお店を7店舗運営する会社の社長だったりした時代もあった。

そしてその友人Sが副社長だったわけなのだ。

そんな経験があるからネットでもできるだろーなどという甘い考えでは決してないが、人間やってやれないことはないと信じて挑戦する意志を固めていたのだ。

それなのに・・・

そいつは妙に反対派の立場を強固にしていった。

とにかく公私共にボクのことをボク以上によくわかっている厄介な男なのである。

『ただし』は続く

「なるほどね、本気になってるってわけか」

一時間ほどやり合った後に急に彼の表情に柔和なものが浮かんだ。

「はあ?」

一体何のことだ?とボクは訝しんだ。

「オマエの場合、ただの思いつき的アイデアなのか、本気なのかを見極める必要がある。本気でやるならやればいいじゃん」

「テメエ」

じゃあこれまでのやり取りは試されていたということになるのか。

くー。

「ただし」

え、オマエも「ただし?」

「ただし、最初からあんまり派手なことはしないこと」

「えっ?」

ギクリとした。事実、結構派手なことを考えていたからだ。

「だいたいオマエはいつも最初にド派手なことをやって、そのうちすぐに飽きてしまうというパターンなんだよ」

「・・・」

ナンも言えない。

確かに飽きっぽいところはある。

最大瞬間風速を吹かせることができるが、継続性に欠けるという子どもの頃からの弱点を抱えている。

「だから、なるべく地味にスタートしてじっくり育てていくこと。できるか?」

「え〜、地味に?」

「できんのか?」

鋭い視線とともに彼は語気を強めた。

「できます」

言わざるをえない状況。

「本当か」

「うんっ」

オマエはオレのお父さんかっ。

ボクはいつの間にか彼の息子にでもなったような頼り切った安心感に包まれていた。

 

というわけで、彼の教えに基づいてジミーにスタートを切ることになった。

ゆっくりゆっくりね。

短距離走ではないんだからね。(ただし1はこちら、 ただし2はこちら

有本圭

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